うとうとと眠りかけた時、
パートリーダーのAさんの携帯が鳴った。
「え?メール?みてないよ。ごめん。・・・・・うん・・・・え?うそ?」
息をひそめて、耳をそばだてる。
パートリーダーさん他お世話係さん数名を会場に残して、一足先に帰りのバスに乗った私たち。
「全国大会!一位通過です!!」
歓声が沸きあがる。
私は感激のあまりボロ泣き。
「主は羊飼い」
この歌に出会ってから、何度涙をこぼしたことだろう。
聴いても歌っても、何度も何度も胸がいっぱいになる。
いや、何度も言うが、私はカトリックではない。
神というものがなんなのかはわからないが、大きな光のような存在で、そこここを照らしているのだという気持ちはいつも持っていた。それは私にとって、限定された誰かではなく、樹木に、花に、雲に、水に、風に無限に存在している何かなのだ。

コンクールも様変わりした。
おそろいのブラウスに黒のロングドレス・・・といういでたちはあまり見かけなくなり、
それぞれのコーラス団体のスタイルをどんどんアピールし、ステージパフォーマンスも半端じゃなかった。
正直言って、いまだ頭の固い指導者も大勢いて、相変わらずの小難しい選曲でまじめくさって歌っているんだろうなぁ・・・程度の認識で現地入りしたので、これは大きなカルチャーショックだった。時代遅れの頭は私のほうだ。
ところで・・・
コンクールに賭ける思いというものは私にも理解できる。
音色が合ってないだの、
息がたりないだの、
高音が伸びないだの、
発音がきれいじゃないだの
クリアするべき音楽的要素はもちろん無視できない。
もちろん私もそれを血眼になってやっていた時代もある。
参加した大仙市の老舗コーラスグループ「コールノーヴァ」は
技術力の高さと言ったらおそらく県内随一だろう。
団員のみなさんが、より良い演奏を目指して、細かい点まで何度も何度も
納得のいくまで練習する姿は、とても真似できないと思った。
そんな実力ある団体なのに、
みんなは自信がないという。まだまだダメだという。
そうかなぁ・・・・
足りなものがあるとしたら・・・それは・・・

そして7分の演奏。
演奏後、客席は一瞬しーんと静まり、次の瞬間、どよめきのような拍手が起きた。
私は「伝わった!歌が。歌の心と一緒に!」と実感し、思わず涙ぐんだ。
嬉しくて、設立当時からのメンバーのおひとりに声をかけた。
しかし・・・
「コンクールで勝つということとお客さんの感動度は違うのよ。」
期待してはいけないとくぎを刺された。(つづく)
「コールノーヴァ」の築地芳子さんとは、
古くからの知り合いです。
遠い親戚でもあります。
だから、美果さんが一緒に歌っていると聞いた時に
何となく嬉しく思ってました。
良かったね!